幻想的な夜のホイアン
その日の夜遅く僕はベトナム、ダナンの空港に降り立った。空港を出るとひと気はまばらだった。暇そうにしているタクシーカウンターでタクシーを予約して一路ホイアンに向かった。車で約40分程度。取り合えす淋しげなホテルにチェックインし、荷物を置いてから外へ出た。
夜遅かったのでひと気もほとんどなく、暗闇の中に街灯のオレンジの光とたくさんの提灯が浮かんでいた。幻想的な異世界に迷い込んだ気がした。
誰も人がいないのに数々の提灯だけが至る所に点っている。誰もいないお祭りのような不思議な雰囲気。
バイクもたまに走っていく程度。誰もいない。でもたいして治安が悪いようには思えない。
迷路のような路地裏の道を抜けると突然鮮やかな提灯のお店が現れたりする。
まるで未確認飛行物体の大群のような提灯
同じパターンではなく様々な形、様々な並び、様々な色の提灯のアート空間。
精霊流しなのか、川に流すロウソクを売る女性たちが道端に座ってこっちを見ていた。
ほとんど音もなく暗闇にただただ提灯が浮かぶ。
なんだかとても懐かしい、ノスタルジックな雰囲気に満ちている。不思議な世界をさまよっているような気分。
今、自分がどの時代のどの場所にいるのか、わからなくなりそうだった。
とても幻想的な深夜のホイアン。